スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

自主防衛を急げ!


題名:自主防衛を急げ!
著者:日下公人・伊藤貫
おススメ度:★★★★★

国際政治や外交について、興味がある人だけでなく、全ての日本人に読んで欲しい本です。

特に、著者である伊藤さんの提言されている「バランス・オブ・パワー」という考え方は、まさに「目から鱗が落ちる」という感覚です。
これが、過去の歴史の事実から導き出された正しい考え方だと、直感的に感じられます。

歴史認識の事例として、

過去二千四百年間、国家間でいくら友好条約や不可侵条約を結んだり、国際法を強化したり、国連のような機関をつくっても、いったん強い国が暴れだすとすべては吹っ飛んでしまいます。

 同盟関係や国際法も、経済の相互依存関係の強化も、いざとなると戦争を阻止する機能を持たないのです。たとえば、第一次世界大戦の前は、いまと同じぐらい国際間の貿易や相互投資が盛んにおこなわれていました
………
もちろん、いかさまな国際裁判所はありますけれど、「本当の正義」を実現する力など持っていません。ルワンダやセルピアやカンボジアといった弱小国が”見せしめ”としてお仕置きを加えられるだけです。

世界の強国であるアメリカやロシアや中国は、けっしてお裁きの場に引きずり出されることはありません。
結局、みんなで寄ってたかっていじめてもかまわないような国だけが、国際裁判にかけられるのです。
アメリカのイラク戦争だって、ロシアがグルジアに攻め込んだのだって、国際法違反の侵略戦争です。

しかし力の強い大国に対しては、どこの国も処罰できない。米中露イスラエルのように利己的・独善的で軍事力と国際政治力の強い国は、何をやってもいい。

これら諸国が侵略戦争をしようが凶悪な戦争犯罪を繰り返して民間人を無差別虐殺しようが、ごいっさいお咎めなしです。

「いったん強国が一方的に軍事力を行使すると、どうしようもなくなってしまう」というのが、過去三千年間続いてきた国際政治の現実なのです。


と述べられている事こそ、正しい現状認識でしょう。



以下に、著作の最初の部分を抜粋させていただきますが、
この部分を読むだけでも、「ウーン」と唸ること間違いなしです。

素晴らしい内容なので、ほぼそのまま掲載させていただきますので、是非、ご一読を!


----------------------------------------------------------


 さて、私はワシントンに二十五年間住んでいるのですが、外から日本の外交論壇を観察していると、以下、三つのグループに分けられるように思います。

①最初のグループは、いわゆる「護憲左翼」です。
戦争放棄や戦力不保持をうたった日本国憲法第九条を守っていれば日本は平和だという、空想的な平和主義者たちです。
進歩的文化人といわれている人たち、日教組、そしてNHKや朝日新聞等の左翼メデイアが、典型的な護憲左翼です。

ただし、東大法学部を卒業して霞が関の官僚になった連中にも、護憲左翼は多い。
東大の法学部で憲法や政治学を教えている教師には、国際政治の現実をまったく理解していないにもかかわらず、護憲思想に凝り固まっている者が少なくない。

そういう人たちの講義を聴いて、そのまま信じ込んでしまうナイーヴ(騙され易い)な学生も少なくないのです。


②二つ目のグループが、「親米保守」です。
外交評論家の岡崎久彦さんや軍事評論家の森本敏さん(拓殖大学大学院教授)のように「アメリカにくっついていれば日本は大丈夫だ。アメリカから離れたら、日本は生きていけない」と考えている人たちです。
日本の政界、官界、マスコミでは、この親米保守派が「エスタブリッシュメント」ということになっているようです。


③三つ目のグループは、私が「戦前保守」と名づけている人たちです。
彼らは自分たちのことを「真正保守」と呼ぶことがあるようですが、いったい何か「真正の保守主義」なのか、という定義は不明ですから、私は彼らを「戦前保守」と呼んでいます。

「戦前の日本は素晴らしかった。敗戦前の日本人は何も悪いことはしていないのだから、自虐的になってはいけない」と言っている人たちです。

 私自身、「第二次世界大戦は、民主主義勢力を率いた『正義の味方』アメリカと、ファシスト陣営に加わっていた『悪の帝国』日本との戦いだった」といった米占領軍のプロパガンダなどまったく信用していませんから、この「戦前保守」の立場に半分ぐらい賛成するのですが

しかし、彼らに対しても異論があります。なぜかといえば、戦前の日本の軍事政策と外交政策は、「バランス・オブ・パワ-を維持する」という視点からは明らかに失敗だったからです。

 失敗の理由を簡単に説明しますと、第一次大戦後の日本の周囲にはソ連、中国(中華民国)、アメリカという三つの覇権国がありました。

しかし戦前の日本の軍部と政治指導者たちは、これらの三カ国をすべて敵にまわして第二次世界大戦に突入してしまいました。

これは、「大国間の勢力を均衡させて、そのなかで自国の生き残りを図る」というバランス・オブ・パワー外交の基礎的なロジック(論理)から逸脱したやり方です。あれは明らかに失敗だった、と言わざるをえません。

 ところが、「戦前保守」の人たちには、戦前の軍部と政府の戦略的な失敗をすべて正当化しようとする傾向がある。

米占領軍が偽善と欺隔に満ちた「東京裁判史観」を日本国民に押し付け、そして、それを嬉々として受け入れた左翼勢力が自虐的・反日的なことばかり言うものだから、彼らを言い負かしてやろうと考えて、「戦前の日本の行動はすべて正しかった」と強弁するわけです。

「戦前の日本が失敗したのは、すべてコミンテルン(ソ連主導の国際共産主義組織)、国民党(蒋介石政府)、中国共産党、そして日本を故意に戦争に追い込んでいったルーズベルト政権の陰謀のせいである。われわれ日本人は、何も悪いことはしていない」と。

 「戦前保守」の人たちが、そのように怒って日本を弁護したがる心情もわかるのですが、しかし客観的に見ると、中国大陸でどんどん戦線を拡大していった日本のやり方は、軍事政策、外交政策の両面から見て下手なやり方でした。長期的なグランド・ストラテジー(最も基本的な国家戦略)を設定する必要性が理解できず、ズルズルと戦争を続けていったのです。

1930年代の日本の指導者たちは、賢明ではなかった。

私の立場は、これら三つのグループの人たちとは異なっています。以上の三グループとは異なる四つ目の立場には名称がないので、自分で勝手に「古典的なバランス・オブ・パワー派」とか「オーソドックスなリアリスト派」とか名づけています。その基本になっている思想は、十七~十九世紀の国際政治の基盤となっていた古典的なバランス・オプ・パワー外交の考え方です。 ご承知のように、国際関係を考えるには二つの大きなパラダイム(思考パターン)があります。

 一つは、国際法を強化したり国連のような国際組織を充実させたりして各国の相互依存関係が深まるようになれば、世界の国々は戦争しなくなる、という考え方です。もう少し具体的に言えば、

 ①国際法と国際機関の強化は、戦争を回避させるはたらきをする、
 ②経済的に豊かな国同士、もしくは経済的な相互依存関係の強まった国同士は、戦争しなくなる、
 ③民主主義を実行している諸国も、戦争を好まない、

 という三つの考え方です。第て次世界大戦のあと国際連盟の創設を提唱したアメリカのウィルソン大統領にちなんで、これを「ウィルソニアン・パラダイム」と呼びます。
リベラル派のパラダイムと呼ぶこともあります。


これに対抗するパラダイムが、「本当に頼りになる世界政府や世界警察軍が存在しない現状では、国際法や国連に平和維持を期待するのは現実的ではない。したがってバランス・オプ・パワー(勢力均衡、特に軍事力の均衡)を崩さないように国際システムを運営する必要がある」という考え方です。この考え方を「リアリスト・パラダイム」と呼びます
私の言う「古典的なバランス・オブ・パワー派」というのは、「リアリスト・パラダイム」の立場です。


 この立場をとってきたのは、第二次大戦後の冷戦外交の基礎をつくった戦略家のジョージ・ケナン、アイゼンハワー大統領、マーシャル国務長官、1930年代から60年代までのアメリカで最も強い影響力を持つ外交評論家であったウォルター・リップマン、著名な国際政治学者のハンス・モーゲンソー(シカゴ大学)、キッシンジャー元国務長官、ブレジンスキー安全保障政策補佐官、サミュエル・ハンティントン(ハーバード大学)、ブレント・スコウクロフト中将(安全保障政策補佐官)、ジョン・ミアシャイマー(シカゴ大学)といった人たちです。

戦後のフランスの大統領となったド・ゴール、ポンピドー、ミッテラン、シラクの四人や、イギリス、フランス、ロシア、中国、インド等の外務省幹部も、バランス・オブ・パワーの維持を最も重視するリアリストです。

中国共産党の首脳部も、本質的にはリアリストですね。彼らは「世界を共産化したい」などと考えてない。
彼らがつねに真剣に考えてきたことは、「どうしたら中国の覇権を強化できるか。どうしたら中国の勢力圏をよりいっそう拡大できるか」ということです。

毛沢東も周恩来も鄧小平も江沢民も、みな、タフで柔軟で意志の強固なリアリストでした。

 このリアリスト派の視点とは、「ツキディデスが『戦史』(岩波文庫)でペロポネソス戦争(アテネの同盟軍対スパルタの同盟軍の戦い。紀元前431年~紀元前404年)を描いたときから二千四百年間、国際政治を動かしてきた最も強力なメカニズムはバランス・オプ・パワーであった」というものです

著名な歴史家であるトインビーやA・J・P・テイラー、ポール・ケネディ(イェール大学)等の視点も、基本的にはリアリストです。トインビーは二十世紀前半の国際政治を観察していて、「嗚呼、ツキディデスの描写した国際政治と、本質的には何も変わっていない」と述べていました。

 過去の国際政治史を振り返ってみると、リアリストの重視するバランス・オブ・パワーの力学が世界を動かしてきました。

なぜそうなるのかといえば、過去二千四百年間、国家間でいくら友好条約や不可侵条約を結んだり、国際法を強化したり、国連のような機関をつくっても、いったん強い国が暴れだすとすべては吹っ飛んでしまうからです。

 同盟関係や国際法も、経済の相互依存関係の強化も、いざとなると戦争を阻止する機能を持たないのです。たとえば、第一次世界大戦の前は、いまと同じぐらい国際間の貿易や相互投資が盛んにおこなわれていました。

英仏独墺露の諸国は緊密な通商関係と金融関係を維持していたのですが、ひとたび戦端が間かれると、あっという間にお互いを叩きつぷすムチャクチャをやり始めました。

 思うに、人類というのは、世界政府とか世界立法院、あるいは世界裁判所とか世界警察軍、そういうものをつくることができない体質なのです。

もちろん、いかさまな国際裁判所はありますけれど、「本当の正義」を実現する力など持っていません。ルワンダやセルピアやカンボジアといった弱小国が”見せしめ”としてお仕置きを加えられるだけです。

世界の強国であるアメリカやロシアや中国は、けっしてお裁きの場に引きずり出されることはありません。

結局、みんなで寄ってたかっていじめてもかまわないような国だけが、国際裁判にかけられるのです。

アメリカのイラク戦争だって、ロシアがグルジアに攻め込んだのだって、国際法違反の侵略戦争です。

しかし力の強い大国に対しては、どこの国も処罰できない。米中露イスラエルのように利己的・独善的で軍事力と国際政治力の強い国は、何をやってもいい。

これら諸国が侵略戦争をしようが凶悪な戦争犯罪を繰り返して民間人を無差別虐殺しようが、ごいっさいお咎めなしです。

「いったん強国が一方的に軍事力を行使すると、どうしようもなくなってしまう」というのが、過去三千年間続いてきた国際政治の現実なのです。

残念ながらこの現実は、二十一世紀になっても変わっていないのです。


米中露イスラエル等の覇権主義国家は、本音レベルでは、「真の実効力を持つ世界政府や世界裁判所などをつくると、自国の行動の自由を束縛されるからイヤだ」と考えています。

それゆえ、「ウィルソニアン・パラダイム」が強調する相互依存とか国際組織とか対話促進と信頼醸成とかいったものに平和を委ねるのは危険だ、というのがリアリスト派の基本的な考え方になっています。

 ところが戦後の日本の大学で教えられているのは、ほとんどが「ウィルソニアン・バラダイム」に属する相互依存派や制度派の思考パターンです。

なぜかというと、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して(前文)……国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する(第九条)」

とする日本国憲法を維持する立場からは、そのほうが都合がいいからです。

 リアリスト派の理論をそのまま日本外交に適用しようとすると、憲法や、過去半世紀間のいわゆる「吉田外交」と齟齬(そご)をきたしてしまいます。
だから日本では保守派の学者でもリアリスト理論を本気で主張していません。


 高坂正堯さんにしても、佐藤誠三郎さんにしても、衛藤瀋吉さんにしても結局、みなさん相互依存派と制度派の論理を借りてきています。

この人たちは日本の政界やマスコミでは「リアリスト」として扱われてきましたが、少なくとも米仏中印露等の外交政策判断の基準に照らし合わせると、リアリストではありません。

高坂さんや佐藤さんなど、ケナンやキッシンジヤーやハンテイントンだったら顔が赤くなって言えないようなことを、平気でしゃべったり書いたりしています。高坂さんや佐藤さんが保守政治家と外務官僚に「使って便利な学者」として重用されていたのも、彼らがバランス・オプ・パワー外交を実行することを本気で考えなかったからです。


以上、抜粋でした。なるほど……と納得です。目から鱗です。
スポンサーサイト

テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

micky358

Author:micky358
何事にも好奇心旺盛な♂です。
船井幸雄さんのファンで、そこで紹介されていた本をよく読みます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。